強迫性障害とは
強迫性障害は、日本の一般人口でのデータはありませんが、欧米での有病率は2%前後で、性差はありません。
発症時期は児童期の後半から25歳頃が多く、男性は15~20歳頃、女性は20~25歳頃という傾向があります。
なんらかの重大な出来事やストレスが発症のきっかけとなる場合もあります。
強迫性障害の原因
強迫性障害の原因はいまだだ明らかではありません。
気質要因、環境要因、遺伝要因・生理学的要因などが強迫性障害の発症に影響を与えていると考えられています。
- 気質要因
幼少期に教え込まれたことや、感情や行動を強く否定されたことによる影響。 - 環境要因
強いストレスを引き起こす出来事や虐待などは強迫性障害の発症の危険性を高めるといわれています。 - 遺伝要因
セロトニンという神経伝達物質との関連や脳の機能的な異常の可能性。
これらに加えて、受験・就職・結婚・出産・育児などの強いストレスから発症する場合もあります。
また、几帳面な人や完璧主義な人などの性格的な面もあります。
強迫性障害の症状
「強迫観念」と「強迫行為」
強迫性障害には、「強迫観念」「強迫行為」または、その両方の症状が現れる場合があります。
強迫観念
苦痛や不安を伴って繰り返し浮かんでくる思考やイメージ、何かをせずにはいられなくなる衝動のことです。
強迫行為
強迫観念を打ち消すために繰り返し行われる行為や心の中の行為のことです。
その行動や心の中の行為は、不安または苦痛を避けるためや緩和することであり、他に何か恐ろしい出来事や状況を回避することを目的としています。
しかし、その行動や心の中の行為によって、中和されたり、予防することとは、現実的な意味でつながりをもちません。
または、明らかに過剰な行為をいいます。
強迫性障害の治療法
強迫性障害の治療には、認知行動療法とお薬による治療の2つの療法を組み合わせるのが効果的だとされています。
認知行動療法
再発予防効果が高い「曝露反応妨害法」が代表的な治療法です。
患者さんが強迫観念による不安に立ち向かい、やらずにはいられない強迫行為を我慢するという行動療法です。
例えば、汚いと思うものを触って手を洗わないで我慢する、留守宅が心配でも鍵をかけて外出し、施錠を確認するために戻らないで我慢するなどです。
こうした課題を続けていくと、強い不安が弱くなっていき、やがて強迫行為をしなくても大丈夫になっていきます。
お薬による治療
患者さんの多くは、強迫症状や抑うつ、強い不安感があるので、まず抗うつ薬のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で状態を安定させてから、認知行動療法に入るのが一般的です。
うつ病よりも高用量で、長期間の服薬が必要です。
最初は少量から始めて薬との相性を見ながら服薬量を増やしていきます。
SSRIはほかの抗うつ薬に比べると、副作用は軽いものですが、服用を始めてから体調がよくない気がするなどの不安があれば、すぐに医師に相談するようにしましょう。